むんさんブログ
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【体験談】夫を自死で亡くしてからの10年|子どもと二人きりになってから考えた生活・お金・心のこと

あれから10年

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はじめに:突然の「死別」という現実

若くして夫と死別したあなたへ

人生が大きく変わる瞬間を感じたことありますか。

私は2回あります。

1回目は妊娠がわかったとき、2回目は夫が死んだときです。

今日は、若くして夫との死別を経験した方に向けて、あのときにどう行動したかなど、10年経った今だから話せることを書いていきます。

現実?自分の夫が自死

息子が年長さんになる春休みでした。

いつも通りの夜、子供を寝かしつけるために寝室に入ったときに、夫が外出する音が聞こえました。

「またか」と思い、特に気にもせず、私は子供とそのまま寝ました。

朝になっても帰ってきた様子がなく、不審に思いながらも、いつも通りの家事をこなしていたところ、テーブルに裏返された紙が置いてあるのに気づきました。

遺書でした。
私と息子への謝罪文でした。

そしていろいろあって数日後、夫が遺体で見付かりました。

5歳の息子にはわからない

息子は夫が亡くなったことをいまいち理解していないようでした。

お葬式で泣くこともなく、不思議そうにしていました。

ただ幼稚園での、父の日の似顔絵にお墓が描いてあったので、亡くなった事実はわかっているようでした。

普通の毎日って何だろう

しばらくは自分が寝ているのか起きているのか、食べているのか何をしたらいいかもわからないような毎日を過ごしていました。

今思うと息子がいたからこそ、正気に戻るのが早かったと思います。

子供のために朝起きて洗濯をし、ご飯を作る毎日でした。
食欲なんてないのに。

自分のためだけにならできなかったと思います。

家族の温かみ

そして混乱の中、一番助けてくれたのは「妹」でした。

夜中に警察に呼ばれたときに運転してくれたり、葬儀の内容を決めるときに助言してくれたり、どこに連絡したらいいか調べてくれたり、、

本当に助けてくれました。

両親は、私にどんな言葉をかけたらいいかわからず、何も言えなかったそうです。
ただ幼い息子を預かってくれたのは、本当に感謝しています。

1. 【お金の不安】すぐに調べたこと、受け取れたもの

死亡届は出す前に、5枚ほどコピーを取っておくことをお勧めします。
様々なところで提示を求められます。

収入は?転職は必要?

あなたは今働いていますか?
そして会社で社会保険などに加入していますか?

私は当時、扶養内のパートでしたので、会社に頼んでフルタイムのパートにしてもらいました。
フルタイムにすることで、社会保険にも入れてもらえます。

息子が通っていた幼稚園の延長保育制度を調べ、ぎりぎりまで働いても月に10万円ほどでした。
(風邪などひいて幼稚園を休むと、一気に収入が減り、しんどかったのを覚えています)

パート代+児童手当+遺族年金+収入保障保険で生活していたので、小学校中学年になったころに、正社員に転職しました。

公的補助(遺族年金・ひとり親控除など)

死亡届が出してあれば、これは急がなくてもいい手続きなので、子供を預けて、役所に半日以上いる覚悟で行ってください。

各窓口でたくさんの申請が必要です。

この時点で、社会保険に入れるかが決まっていれば、手続きは少しだけスムーズになります。

そして遺族年金と児童扶養手当は、同時にもらえません。
窓口で調べてもらい、多い方を選択します。


生命保険のこと

お恥ずかしい話ですが、我が家は葬儀代すら払えないくらいの貯金しかありませんでした。

葬儀場にも待ってもらい、生命保険が入金されてから葬儀代を払いました。
(1週間くらいで入金されました)

この経験から、死亡保障」と「収入保障」を掛け捨てでいいので、かけておくべきだと思いました。
もし余裕があったら「学資保険」も!

我が家は現金がなかったので、本当に困りました。

大金をお持ちの家庭は必要ないのですが、我が家のように貯金がない家庭は絶対必要です。
でないと残された家族が路頭に迷います。

今一度見直ししてみてはいかがでしょうか。
過剰なものは解約し、その分、現金の貯金に回した方が、予期せぬ出来事に対応しやすいです。


知っておくべき解約リスト

持っているだけで料金が発生するものは、すぐに解約の電話を入れた方がいいです。

これは妹が調べて教えてくれました。

スマホ料金

必ず月末までに手続きしないと、また料金がかかっていきます。

当時は基本的に店舗での手続きだったので、死亡届のコピーをもって解約に行くと、解約料はかからずに解約できました。

しかし機種代は払い続けなくてはいけないので、しばらくの間はローンを払い続けていました。

ペイペイなどのQR決済アプリ

スマホの解約も大事ですが、今はアプリに入金している方も多いので、出金または使いきらないといけないです。

モバイルSuicaなんかは特に見落としやすいので注意しましょう。

車関係

我が家はお互いの車があったので、夫が入っている保険会社に連絡し、月々の引き落としをすぐに止めてもらいました。

そして落ち着いてから、売却しました。

ローンはなかったので、ローン関連の手続きはしていません。

財布の中身

人の財布を見るなんてと思うなかれ。
意外と見落としがちなのが、カード類です。

年会費のかかっているカードは、必要なければすぐに解約の電話を入れましょう

ジムなどの習い事のカードも入っていることが多いですし、一旦無心でカード類は精査した方がいいです。

そして落ち着いたらでいいので、キャッシュカードから口座がある銀行を探しましょう。
今はネットバンクもあるので、普段からどこの口座を持っているのかお互い開示できていればいいんでしょうが、亡くなっていたら時すでに遅しです。

我が家は知らないキャッシュカードがたくさん出てきて、1行1行回るのに苦労しました。

自分にも当てはまりますが、昔作って今使っていないなど、不必要な口座は解約しておくといいでしょう。

2. 【住まいの決断】引っ越すか、住み続けるか

家の中の思い出と向き合うこと

葬儀が終わり、役所の手続きが終わり、涙も枯れ、今までより長時間の仕事と家庭の両立にも慣れたころに、ふと、夫のものをどうしたらいいのか悩む時期が来ます。

服や装飾品、趣味のものや車など、そのままにしておいてもいいと思い、夫が亡くなったまま時間が止まった家の中で、しばらく生活していました。

しかし気付けば、同居していた義母は家にお金を入れなかったし、それを夫の兄弟たちも見て見ぬふり、、
私が子供と義母を今後食べさせていくことに不安を覚え、引越を決意しました。

まだ建てて3年の家でした。
こだわって建てたので手放したくない気持ちも強かったけれど、このまま義母と3人で暮らしていく未来のほうが嫌でした。

引越すとなっては、夫のものを全部持っていくことはできません。

心を鬼にしてお金に変えれるものは全部売り、自分が結婚前から持っていたブランド品も全部売り、夫が亡くなって約1年後に引越することができました。


引っ越すことで心が楽になった

戸建てとは打って変わり、子供と二人で住めるほどの小さなところに引越しました。

小学校の入学に間に合ったので、落ち着いて小学校生活を始められた事は本当によかったと思っています。

そして私たちのことを知らない街、私たちのことを知らない学校、親や友人が気軽に遊びに来られる家になったことなど、書き出したらきりがないくらい引越してよかったです。

引越したことで思い出の中の生活から、一歩踏み出せたと感じています。


実家に帰らなかった理由

父親からは、名字も戻して実家に帰ってこないかとすすめられていました。

当時、まだ両親は現役で働いており、おばあちゃんも同居、妹も学生だったため、そんな忙しい実家に戻るという選択肢はありませんでした。

お金はなかったけれど、自分と子供のライフスタイルを守るためには、二人で住むことが最善だったと思います。

3. 【子どもの心】どう支えていくか

心配より信頼

私自身がそんなに心配症ではないのもありますし、子供も敏感な性格ではないので、心のケアを意識的にはしていませんでしたが、子供の描く絵や文章などを気にして見るようにはしていました。

口にはしない寂しさや闇が潜んでいたら怖かったから

あれから10年経ちますが、父親がいないことでの心の闇は感じていませんし、先生や周りからも聞いたことはありません。

5歳での別れはあまり記憶には残っておらず、母子生活のほうが長いので、普通のことと感じているのかもしれません。

そして「10時には寝れるようにする」以外のルールは我が家にはありません。

帰宅時間もお金の使い道も勉強も、全て子供に任せています。
放任ではなく、信頼して任せています。

このやり方がお互い合っているのか喧嘩もしませんし、学校ではクラス長や部長などやって好きなように自分を表現して過ごしているようです。

男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方 (中経の文庫) 

👆この辺りが参考になると思います。

気を張らせすぎない工夫

実家に帰らなかった理由の一つでもありますが、周りの大人は良かれと思ってか、子供にプレッシャーをかけてくるんです。

「ママは大変だから、お前も頑張るんだ」
「パパがいなくても、笑って生活しなければいけない」
「ママを助けるのはお前だ」

など、普通に言ってきます。

だから私が周りに言わせないようにしていました。

実の親族なら直接注意しましたし、他人が言ってきたときにはその場は流して、あとから子供に気にしなくていいと伝えていました。

「お父さんのこと」をどう話したか

あなたは子供に本当のことを話しましたか?

私はまだ話せていません。
理由は、事実を知った後に迎える思春期が怖かったから。

小学生の時に2回くらい「パパってなんで死んだの?」と聞かれたことがありましたが、本当のことは言えませんでした。

「車で死んじゃってたみたいで、ママもなんでかわかんない」と2回とも答えました。

一応嘘ではないのですが、自死だなんて言えなかった。

 

我が家は社会人になったときに話そうと思っています。

4. 【自分の心】支えてくれた考え方

自分を責めない考え方

ある日よくしてくれていた親戚のおばさんに、義母が親戚にも近所の人にも「嫁が殺した」と言いふらしてまわっていると教えてもらいました。
「あなたも嫁いだ家が悪かったね」と。

正直、なんとも思わなかったです。
むしろ義母に対しては、息子が亡くなったのによくそんな元気があるなと思いました。

私は、仲のいい友人や職場にしか報告していませんでした。
話せる気分ではなかったというのが正しいと思います。

自分が悪いとか、そんなことすら考える余裕がなかったし、目の前でにこにこしている幼い息子をどうしたら普通に育てていけるのかとか、節約とか、引越や転職などの将来への不安が頭の中を占めていました。

あなたはどうですか?
自分を責めていますか?

私はこの10年、何度も何度も自問自答をしましたが、結果が変わるわけではありません。もう私が悪いとか悪くないとかどっちでもいいのではないか、私に悪いところもあっただろうし、夫にも悪いところがあった。

そうやって考えて開き直りました。

辛さはなくならないけど、形が変わっていく

開き直ったら、あとは未来に向かって進むだけです。

目の前にある課題を、少しづつ解決していくんです。

小さな達成感って自分を満たしてくれるので、不意に来る悲しさや寂しさを乗り越えられるようになると思います。

ずっと付き合っていかなければいけない事実なので、自分に合う距離感を見付けられることを願っています。

話せる人を見つけるまで

本当のことを話す必要があるかどうかは、私にはわかりません。

言ったらすっきりするのか、罪悪感が残るのか。

私が夫の立場だったら、本当のことを周りに知ってほしいのか、黙っていてほしいのか。

これは、人によって考え方が分かれるのではないかと思います。

でも自分の生活に関係ない人に聞いてもらうのも、いいかもしれませんね。


5. 【周囲への伝え方】どこまで話す?誰に頼る?

伝えたことで得られた理解/逆に傷ついたこと

職場には、しばらく休むことや勤務時間・保険関係などの兼ね合いで、一番にいろいろ報告しなければいけませんでした。

当時の上長とはあまり折り合いがよくなかったので、伝えるのが本当に苦痛でした。

しかし正直にいろいろ話したことで、仕事中の私情の電話や急な休み、早退なども取りやすく、相続などで裁判所や司法書士とやり取りしているときは本当に助かりました。

逆に傷付いたことは、小さな職場だったので全員が知っており、何となく腫れ物に触るような態度が悲しかったです。
気を遣ってくれていると思ったのですが、みんなにはいつもみたいに和気あいあいと過ごしていてほしかったです。

頼ることは弱さじゃない

頼るって、甘えているとか怠惰だと思われるのが嫌で、なかなか難しいですよね。
意識すると尚更です。

でもまずは、考え方を改める必要があると思います。

子供を一人で育てるって、本当に大変なことです。

まずその事実を受け入れられていますか?

車だってガソリンが切れては走れない、メンテナンスを定期的にしないと壊れてしまうように、あなただって同じです。

月に1回でいいので、子供が幼稚園や小学校に通っているときに休みを取り、美容院に行ったり、友人に会ったり、一日中だらだら過ごしてみたり、そのときやりたいことをやるべきです。

仕事だって前もって伝えていれば1日くらい休むことは問題ないし、収入の兼ね合いで休むことが難しければ休日に子供を預かってもらってもいいと思います。

周りはあなたが頑張っていることを知っていますし、つぶれてしまわないか心配していますので、時々でいいので周りに頼る習慣をつけていきましょう。

そのうち子供は成長して、お留守番もできるようになります。
一緒にお風呂に入らなくてもよくなるし、身支度も自分でできるようになります。

振り返ると、長い人生の中でほんの数年のことなので、あまり気を張らず、周りに頼って(頼んで)みてくださいね。

「いまは言えなくても大丈夫」な気持ちの持ち方

近所の私の見方だったカラオケ喫茶のおばさん(笑)に言われたことがあります。

「言いたくないことや答えたくない人には、聞かれてもうんうんと適当に返事したらいい」

これは10年前の私には、ものすごく心が楽になるアドバイスでした。

当時20代の私は、嘘はいけない・正直に答えないと人からの信用を失うと強く思っていたので、張りつめていた糸が緩んだ瞬間でした。

「そうか、言いたくないことは言わなくていいんだ」

今思うと、答えたくないことを聞いてくる人って結果的に合わないので距離を置くことになるし、本当のことなんて言う必要ないですからね。

言えなくても大丈夫!
あなたが話したいと思った人には、もう話せているはずです。

おわりに:いまの私から、あの頃の自分に伝えたいこと

「なんとかなる」これが正解

10年駆け抜けて思うことは、全部なんとかなったということ。

心配したこと、辛かったこと、嫌だったことなんて本当にたくさんあったし、何となく人と比べてしまって惨めに感じたこともありました。

でも借金せず、子供も健康で毎日学校へ行き、安定した仕事があったのでなんとかなった!

人に悩みを「なんとかなるよ」と言われて、他人事だなと卑屈に受け止めてしまう時期もありましたが、今思うと真実です。

我が家はこれから高校受験や大学受験など、お金がかかりそうなイベントが待っています。

年代的に無償化されたりしているので、未来のことですが、こちらもなんとかなっていくのではと思っています。

今だけを見なくていい

今しか見えない時だってある。

でも現実あなたとお子さんは何歳ですか?

我が家は子供が5歳の時だったので、あと1年で小学校、あと5年で10歳、あと10年もしたら高校受験かなど、時は経っていくものだと考えるようにしていました。

そうすると今やっていることの限定感や、子供にとっては今大切なことだと、もう一度気付けます。

目まぐるしい毎日で、自分を見失ってしまうことは誰にでもありますし、今の自分を否定的に思ってしまうことは誰にでもあります。

自分の現在地を見失わないように、子育ても仕事も休憩しながら取り組んでいきましょう。

私は人生の先輩として、頑張っているあなたを応援しています。

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